2011年11月04日-1
無申告者の1人平均申告漏れは1494万円と高額

 無申告は、申告納税制度の下で自発的に納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすことになるため、的確かつ厳格な対応が求められる。無申告者は、その存在自体の把握が難しいことから、国税当局は、さらなる資料情報の収集や活用を図り、的確な課税処理に努めている。国税庁が今年6月までの1年間(2010事務年度)に実施した高額・悪質と見込まれた無申告者に対する実地調査は、前年度比5.3%増の1万233件行われた。

 2010事務年度は実地調査全体(特別・一般)が約5万7315件行われているから、全体の2割近くが無申告者に対する調査に充てられたことになる。無申告者の内訳は、個人事業者などの「営業等」に係るものが6840件と67%を占め、「その他」が3393件で3割強となっている。2010年度に行われた実地調査の結果、追徴税額は総額で166億円、1件当たりでは162万円にのぼる。

 1件あたりの申告漏れ所得金額は、前事務年度の1521万円から1.7%減とわずかに減少したが、1494万円と依然として高額であり、実地調査全体の1件あたり申告漏れ所得金額879万円を大きく上回っている。申告漏れ所得金額の総額は1529億円(前事務年度1478億円)にのぼる。こうした調査結果からいえることは、結構高額な所得がありながら、国税当局にはばれまいと高をくくっている納税者がいかに多いかということだ。

 例えば、Aは、ライブチャットに求人広告で募集したチャットレディを出演させ、顧客に会話サービスを提供することで、海外のサイト運営会社から多額の報酬を得ていたが、収入の全てが無申告になっていた。サイト運営会社からの報酬は、税務当局に所得が把握されないように家族名義の口座に振り込ませていた。申告漏れ所得は9400万円で、3400万円の税額と消費税400万円が追徴されている。

ウィンドウを閉じる