2011年11月02日-1
東日本大震災以降注目される「ふるさと納税」制度

 東日本大震災直後から2011年3月末にかけて、国税庁及び総務省から相次いで東日本大震災の義援金を、税務上「ふるさと納税」と同じ取扱い(「ふるさと納税」として寄附金税額控除できる)にする見解が公表されるなど、東日本大震災の義援金を巡って「ふるさと納税」制度に注目が集まりつつある。その「ふるさと納税」制度について概説するのは信金中央金庫のニュース&トピックスである。

 それによると、東日本大震災の義援金との主な違いは寄附先であり、「ふるさと納税」は、日本赤十字社等の募金団体を経由せず、納税者が貢献したい自治体に直接寄附をする。自治体によっては、「ふるさと納税」はまちづくりのため、義援金は災害復旧等のためと使途を区分しているケースもみられる。したがって、特に寄附者に寄附金の使途について思い入れがある場合、「ふるさと納税」制度の利用はそのニーズに合致しているといえる。

 税務の取扱いについては、法人は所得税法上「特定寄附金」に該当する義援金等については全額損金とすることができるが、個人が「ふるさと納税」で寄附をする場合、その寄附金について、所得税と個人住民税で優遇が受けられる。所得税と個人住民税を合わせた控除額は、おおむね「寄附金額-2000円(つまり実質的な自己負担額2000円)となるが、所得税、個人住民税それぞれの控除額の計算式は次のとおりだ。

 所得税の控除額(所得控除)は、「(控除対象となる特定寄附金-2000円)×総合課税の所得税率」。個人住民税の控除額(税額控除)は、(1) 基本控除額=「(控除対象となる特定寄附金-2000円)×住民税率(10%)」に、(2) 特例控除額=「(控除対象となる特定寄附金-2000円)×(90%-総合課税の所得税率)」を加えたものとなる。このうち「特例控除額」は、「ふるさと納税」にのみ適用される。

 なお、所得控除を受けるためには、納税者が直接寄附をした自治体から送られてくる領収証明書を保存し、確定申告する必要がある。当年分の控除対象は当年1月1日から12月31日までの寄附の合計であり、確定申告により当年分から所得控除され所得税還付が行われる。また、個人住民税は、翌年度分から税額控除され、住民税決定通知書(控除後の税額)に基づき住民税を納付することになる。

 この件は↓
 http://www.scbri.jp/PDFnews&topics/20111027.pdf

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