2011年10月31日-1
ネット取引調査で1件平均1268万円の申告漏れ把握

 オンラインショッピングやネット広告などインターネット取引はすっかり定着しており、なかには年間1億円を超す売上があるネット業者も珍しくない。しかし、多額の利益をあげながら、ネット上の売上は国税当局には把握されまいと考えて無申告・過少申告する業者が後を絶たない。ネット取引者は、無店舗による事業形態となるため、その把握は困難だが、国税当局は、あらゆる資料情報を収集・分析して適正な課税に努めている。

 今年6月までの1年間(2010事務年度)では、ネット取引を行っている個人事業者などを対象に前年度比3.5%増の2465件を実地調査した結果、同14.6%増の1件平均1268万円の申告漏れ所得金額が把握された。この申告漏れ額は、同時期の実地調査における特別調査・一般調査全体での1件平均879万円を大幅に上回る。1件当たりの申告漏れ所得金額はここ数年減少傾向にあったが、2010事務年度は再び増加に転じた。

 調査件数2465件を取引区分別にみると、ホームページを開設し、消費者から直接受注するオンラインショッピングを行っている「ネット通販」が678件(1件あたり申告漏れ830万円)、「ネットオークション」が523件(同1035万円)、「ネット広告」が409件(同1158万円)、「ネットトレード」が256件(同2609万円)、「コンテンツ配信」が60件(同1591万円)、出会い系サイトなど「その他のネット取引」が539件(同1454万円)だった。

 事例をみると、事業者Aは、農業や不動産取引を営む傍ら、海外からアパレル商品を仕入れ、主にインターネットで販売していたが、アパレル事業から生じた利益は申告除外していた。アパレル事業の取引に当たっては、従業員などの関係者名義での事業用口座を作るなど税務当局に事実を把握されないように仮装していた。Aに対しては、申告漏れ所得2600万円について300万円の税額と消費税800万円が追徴されている。

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