2011年10月27日-3
金・プラチナの売却益を巡る申告漏れが急増

 近年、金やプラチナの価格が歴史的な高水準にあり、金地金等によって大きな売却益が生じやすい状況にある。金地金等を売却して譲渡益が生じた場合は、原則として、総合課税の譲渡所得として課税される。国税庁によると、今年6月までの1年間(2010事務年度)の金地金等に係る譲渡所得調査では、500万円以上の申告漏れが前年度の2.45倍の321件、申告漏れ所得金額が同2.55倍の47億1258万円にのぼった。

 1件当たりの申告漏れ所得金額は1468万円(前年度1412万円)と、かなり高額だ。金地金等を巡る申告漏れの総数は962件あり、その申告漏れ所得金額は61億円、1件当たりでは630万円となっており、土地建物等に係るものが大半を占める譲渡所得調査等全体の非違1件当たりの申告漏れ所得金額643万円と比べても大きく変わらないものとなっている。仮装隠ぺいを伴う悪質な所得隠しも140件あった。

 例えば、不動産賃貸業のAは、所得税調査において、高額なプラチナ地金の譲渡を行い、多額の利益を上げていたが、申告除外していた事実が明らかになった。Aは不動産所得や株式等の譲渡所得の確定申告は適正に行っていたが、プラチナ地金の譲渡益約1100万円を申告から除外していた。Aは、プラチナ地金を売却した後、売却代金を自らの証券投資口座に入金していた。Aに対しては、重加算税を含む約140万円が追徴されている。

 なお、2012年1月1日以降は、課税漏れを防ぐため、金地金等(金・白金地金、金貨・白金貨)の取引業者は、1回200万円を超える売買があった場合、売り主などを記載した支払調書を税務署に提出することが義務付けられている。金地金等の小売価格は、2001年初旬の1グラム1000円強から現在は4000円を超えており、多額の売却益が生じやすい状況にある。こうしたなか、税務当局も積極的な調査を行うことは間違いない。

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