2011年10月27日-1
「臨時増税は他の税収と区分して管理」との提言

 東京税理士会の税務審議部(平井貴昭部長)はこのほど、東日本大震災に係る震災復興財源に関する意見を集約、神津信一会長に報告した。報告は、(1)優先すべき税外収入による復興財源の確保、(2)民間投資の活用、(3)基幹税等の復興財源としての取扱い、を3本柱としているが、税制関係では、「臨時的な増税をする場合には、全て復旧・復興に充て、他の収入とは区分して管理する必要がある」と提言している。

 基幹税等の復興財源は、2011年度税制改正法案と復興財源との議論は切り放して行うべきとした。税制構築法案を部分的に通すのではなく、恒久的な増減税措置は復興財源とは区別して行い、すべてを成立させ、その上で法人税、所得税などの基幹税に関して復興財源として適正かどうかの理論構築をすべきで、臨時的に増税をする場合には、全て復旧・復興費用に充て、他の経費には充てないことを明確化する必要があるとしている。

 個別税目では、所得税及び住民税は、被災者の資産損失に伴う雑損控除・寄附を行った場合の寄附金控除によって、震災に関連する担税力減殺が考慮されており、その税額に一定の割合を乗じて付加税を追加課税することは国民の納得が得やすいとの考えを示した。ただし、増税による可処分所得の減少による景気の後退も予想されるため、長期間で薄く課税することが望ましいとしている。

 法人税については、被災地以外のより広い範囲の法人にあまり大きな負担にならない程度のものと考えた場合には、法人の規模や所得に応じた均等割を課す方法も検討すべき、消費税の増税は消費者物価を上昇させ、景気を後退させる可能性があるので、不況期には増税すべきでないと指摘。消費税増税は、直間比率の見直しなど、税制全体の中で検討すべきであり、復興財源としては適さないと断じている。

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