2011年10月20日-3
検査院、消費税の事業者免税点制度の再検討を要請

 会計検査院は17日、消費税において資本金が1000万円未満であれば新規事業開始後2年間は納税義務が免除される事業者免税点制度について、同検査院が調査したところ、売上が3億円を超える企業まで免税となっていたり、設立2年以内の事業者免税点制度の適用を受けた後に解散等した課税逃れとみられるような法人もあったことから、財務省に同制度あり方について再検討するよう要請した。

 現行の消費税法では、小規模事業者の事務処理能力などを勘案し、課税期間に係る基準期間(個人事業者は課税期間の前々年、法人は同前々事業年度)の課税売上高が1000万円以下の事業者は、原則消費税の納税義務が免除されている。その結果、新たに事業を開始した場合の2年間はそれぞれ課税期間に係る基準期間が存在しないことから、原則として免税事業者となり、納税義務が免除されている。

 検査院が、2006年中に設立された資本金1000万円未満の1283社を調査した結果、このうち343社は1年目・2年目の売上高が1000万円を超え、1年目は1社平均約6400万円、2年目は同1億400万円となっているのに、免税事業者となっていた。売上が1年目で1億円を超えたのは58社、3億円超も9社あった。また、2006年5月施行の会社法により最低資本金制度が撤廃されたことから、257法人が資本金300万円以下となっていた。

 一方で、資本金1000万円未満の新設法人のうち、設立2年以内において相当の売上高があったことから3年目は消費税の申告・納付が見込まれるのに、第3期事業年度以降に解散していたり、無申告となっているなどの法人や、設立2年以内の事業者免税点制度の適用を受けた後の第3期事業年度以降に他の新設同族法人へ売上を移転するなど、いわば課税逃れをしているとみられる法人が計24法人見受けられたという。

 そのほか、(1)個人事業者が法人成り後も相当の売上高があるのに、1・2年目に免税事業者となっている法人が相当数見受けられた、(2)1000万円未満の資本金で法人を設立し、第2期事業年度の開始の日の翌日以降に増資して資本金1000万円以上にすることなどにより、1・2年目に免税事業者となっていた法人が見受けられたことなどから、検査院は、財務省に対し、消費税免税点制度のあり方について再検討するよう求めたわけだ。

 会計検査院の報告書の要旨は↓
 http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/23/pdf/231017_youshi_1.pdf

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