2011年10月17日-6
2010事務年度の相互協議事案は26件減の157件

 国税庁が13日に発表した2010事務年度の相互協議の状況によると、今年6月までの1年間に発生した相互協議事案は157件となり、過去最多だった前年度(183件)から26件減少した。うち事前確認に係るものが135件だった。相互協議事案の発生件数は、全体の9割以上を移転価格に関するものが占め、事前確認に係る事案の全体の発生件数に占める割合が、2000年度の64.9%から2010年度は86.0%と増加傾向にある。

 移転価格税制は、法人と関連企業(国外関連者)との取引が第三者間の取引価格(独立企業間価格)と異なる場合、その取引価格を正常な価格に引きなおして課税する制度だが、相互協議は、移転価格課税における二重課税を防ぐため、国税庁が外国の税務当局と交渉するもの。また、事前確認とは、納税者が税務当局に事前に申し出た独立企業間価格の算定方法を税務当局が確認した場合には、移転価格課税は行わないという制度だ。

 2010事務年度において発生した157件の相互協議事案のうち、移転価格に関するものは前年度から27件減の149件、このうち「事前確認」に係るものが同14件減の135件だった。10年前の2000事務年度と比べると、相互協議件数は約2倍、事前確認に係る相互協議件数は約3倍と大幅に増加している。一方、2010事務年度に相互協議が終了したのは前年度より10件多い164件と、過去最多の処理件数だった前年度を上回った。

 このうち、相互協議を伴う事前確認の合意件数は128件と過去最多だった。処理件数164件を業種別にみると、「製造業」が96件、「卸売・小売業」が39件など。対象取引別にみると、「棚卸取引」が99件、「役務提供取引」が71件、「無形資産取引」が51件。また、11年度に繰り越した件数は、過去最多だった前年度より7件減の373件だった。なお、1件あたりの処理期間は、平均1件当たり24.8ヵ月となっている。

 相互協議を伴う事前確認については、これまで米国及び豪州の事案が大半を占めていたが、昨今は、アジア諸国等の事前確認も増加してきている。ちなみに、米国は2001事務年度の18件から2010事務年度は42件に増加したが、アジア・大洋州は同5件から50件と大幅に増加。今後も、こうした国との間の事前確認事案がさらに増加していくと予想される。相互協議を伴う事前確認の相手国数も10年前の6ヵ国から18ヵ国に増加している。

 「相互協議を伴う事前確認の状況」の詳細は↓
 http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/sogo_kyogi/index.htm

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