2011年10月17日-3
財務省、金融商品に係る損益通算範囲の拡大要望

 個人投資家は、株式の譲渡損失を預金・債券の利子所得と損益通算できないなど、金融商品間の損益通算範囲が制限されており、多様な金融商品に投資しにくい状況にある。個人投資家の積極的な市場参加を促すためには、投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境を整備することが重要であるとして、財務省は2012年度税制改正要望において、個人住民税及び住民税(利子割)の新たな特例措置を求めている。

 預金・債券に損益通算の範囲を拡大するには、課税方式を株式等の課税方式(申告分離課税)と同様に変更する必要があるが、債券市場では「課税玉と非課税玉の分断問題」があった。これは、金融機関等が保有する債券(非課税玉)の利子は源泉徴収が免除されているが、個人から購入した債券(課税玉)は、利払日に金融機関等が保有しているにもかかわらず、源泉徴収されるため、金融機関等と個人との流通が分断されてしまうもの。

 同省では、(1)債券の利子・譲渡所得を申告分離方式に変更、(2)債券の利子について申告不要制度を措置、(3)債券の償還差損益については譲渡所得とみなす、(4)金融機関等の利子源泉徴収免除制度等について所有期間按分措置を廃止、(5)債券の利子・譲渡所得についても特定口座で取り扱えるよう措置、(6)割引債について、発行時の源泉徴収を廃止、(7)債券の利子・譲渡所得について損益通算を認める。

 さらに、(8)支払調書・支払通知書制度について所要の整備を行う、(9)公社債投資信託についても債券税制の見直しに併せて、所要の措置を行う、(10)法人に係る利子割を廃止する、(11)非居住者が受ける公社債利子等の非課税制度について債券税制の見直しに併せて所要の措置を行う、ことを要望。また、個人向け国債の中途換金調整額を譲渡費用とみなして、損益通算の対象に含めることを可能とする措置を講じることも求めている。

 財務省の地方税関係の税制改正要望は↓
 http://www.cao.go.jp/zei-cho/youbou/2012/doc/24y_mof_t.pdf

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