2011年10月13日-3
住宅取得のための贈与特例の拡充を要望~国交省

 相続時精算課税制度は、高齢者の保有する資産を次世代に円滑に移転させる観点から、贈与段階の課税については相続時の精算を前提とした概算払いという形で軽減する制度。贈与者は、その年の1月1日現在で満65歳の親、受贈者は20歳以上である推定相続人であることが要件。贈与税額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除2500万円を控除した後の金額に、一律20%税率で課税される。

 一方、一定の住宅の取得や増改築に充てる資金を贈与により取得する場合は、住宅取得資金の贈与の特例として、相続時精算課税制度の特別枠が3500万円に拡大される。また、親の65歳という年齢制限もない。さらに、住宅取得等のための時限的な贈与税の軽減措置が講じられている。直系尊属(実父母・実祖父母)である者から受ける自らの居住用家屋の取得に充てるための金銭の贈与について、1000万円まで贈与税が非課税となる。

 これを整理すると、暦年課税の贈与税の非課税枠は110万円(基礎控除)、住宅取得のための特例1000万円を活用すると、基礎控除を加え1110万円の非課税枠となる。さらに、相続時精算課税の特別控除2500万円に住宅取得資金の贈与特例を加えることで、2011年の場合1000万円+2500万円=3500万円(基礎控除額の110万円は使えない)まで非課税となる。住宅取得資金の贈与の特例、住宅取得のための時限的特例は12月31日まで。

 国土交通省は、2012年度税制改正要望において、住宅取得資金の贈与の特例及び住宅取得のための時限的な贈与税の軽減措置の適用期限を2013年12月31日まで延長するとともに、住宅取得等のための時限的軽減措置の非課税枠を1000万円から1500万円に引き上げることを要望。実現すれば、暦年課税では基礎控除と併せ合計1610万円まで非課税、相続時精算課税では4000万円まで贈与税が非課税となるが、果たして、その成果は…。

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