2011年10月11日-3
文科省、重要有形民族文化財の譲渡非課税措置を要望

 文部科学省は2012年度税制改正において、「日本のたから・地域のたからの次世代への確かな継承」をうたい文句に、(1)重要有形民俗文化財を国・地方公共団体に対して譲渡した場合に係る所得税の非課税措置(所得税等)、(2)史跡等の土地を国・地方公共団体に対して譲渡した場合に係る所得税の特別控除額及び法人税の損金算入限度額の拡充(所得税、法人税等)の適用期限延長と拡充を要望している。

 これまで、個人所有の重要有形民俗文化財の譲渡については、特例として国への譲渡につき、譲渡所得の2分の1課税とされているが、同税制措置の期限切れに伴い、その地域との密着度や重要性等を踏まえ、文化財保護法上、同等の価値を有する重要文化財と同様の扱いとして、国のみならず地方公共団体に対する譲渡についても特例措置の対象とすること、譲渡所得について所得税等を非課税とすること、を求めた。

 一方、史跡等の適切な保存・整備・活用を図り、次世代へ確実に継承していく必要があるが、2010年度末時点において、史跡等の公有化率は、57.7%にとどまっていることから、個人や法人が、史跡名勝天然記念物として指定された土地を、国・地方公共団体に譲渡した場合の譲渡所得について、現行の所得税・法人税の特別控除額・損金算入限度額を2000万円から5000万円に引上げるよう要望している。

 現在約1万3000件が指定されている重要文化財については、1972年から非課税措置が設けられ、重要有形民俗文化財(約200件が指定)の制度については、1975年の文化財保護法の改正で軽減措置が創設されている。今回の要望が実現すれば、国・地方公共団体に対する売渡がさらに円滑に進み、整備等の更なる促進が図られることが予想されるが、厳しい財政状況のなか、歴史・文化への配慮がどこまでなされるか、注目されるところだ。

 文科省の2012年度税制改正要望は↓
 http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2011/09/30/1311670_006_1.pdf

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