2011年10月11日-2
経産省が車体課税の抜本的見直しを要求

 「税金は、取りやすいところから取る」を具現化しているのが自動車への課税。経済産業省は、2011年度税制改正要望で、「急激な円高等により加速する産業空洞化への対応」を旗印に、車体課税の見直しを迫っている。「自動車取得税の廃止」、「自動車重量税の廃止」、「環境対応車に対する優遇措置」(自動車取得税及び自動車重量税の廃止を前提に、自動車税において措置)が、その内容だ。

 車体課税は、取得段階で消費税(国税・地方税、2011年度税収見込6864億円)、自動車取得税(地方税、同1920億円)、保有段階で自動車重量税(国税、同7218億円)、自動車税(地方税(都道府県税)、同1兆5947億円)、軽自動車税(地方税(市町村税)、同1808億円)、総額で3兆3757億円にのぼる。取得税及び重量税の廃止で、9138億円の減税、車両価格180万円、重量1.5トン、排気量1800㏄の乗車で、12万6000円の減税になる。

 経産省要望では、自動車取得税は当分の間として適用されている税率も含め、2012年度から廃止。自動車重量税も、当分の間として適用されている税率も含め、2012年度から廃止。環境対応車への優遇措置は、(1)次世代自動車及び排ガス・燃費性能に優れた乗用車に対し、環境性能に応じて段階的に減免、(2)この減免措置の適用期限を3年間に拡充し、新しい自動車への買換えを促進、するというもの。代替増税案はない。

 このように車体課税については、取得段階で自動車取得税と消費税の二重課税となっており、保有段階でも車検時の自動車重量税と毎年4月1日現在の持ち主に自動車税(軽自動車税)が課税されていることから、複雑かつ過大な負担をユーザーに強いているとの指摘が従来からされてきた。日本自動車工業会の資料によると、日本の自動車に対するユーザーの税負担は米国の49倍となっている。

 また、そもそも、自動車重量税と自動車取得税は、道路特定財源の廃止により、その課税根拠を失っていることも廃止とする理由。2009年度所得税法改正法の附則では、税制の抜本改革のため2011年度までに法制上の措置をするもののひとつとして、自動車関係諸税の簡素化が挙げられていた。さらに、2011年度税制改正大綱の検討事項には、車体課税の簡素化・グリーン化・負担の軽減を行う方向で見直すとの記述が盛り込まれていた。

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