2011年10月11日-1
償却資産に対する固定資産税の見直し要望~経産省

 経済産業省は、2012年度税制改正要望のなかで、償却資産に対する固定資産税の見直しを求めている。同税は国際的に稀な税制であり、国内投資をした場合に投資額に応じて課税され、また、収益に関係なく赤字企業も負担することから、投資意欲を削ぐという指摘や、企業の国際競争力に悪影響を与えており、国内の新規投資の促進と産業の空洞化防止のため、国際的なイコールフッティングの観点から、負担の軽減を図るべきとしている。

 要望内容は、国内の工場等の空洞化を防止する観点から、償却資産に対する固定資産税のうち、「機械及び装置」の分類について、(1)新規の設備投資分を非課税とする、(2)長期保有分の評価額の最低限度(5%部分)を段階的に廃止するというもの。ただし、地方税法389条第1項第二号の規定に基づき総務大臣が指定する償却資産(電力、ガス、鉄道、電気通信等)は除くとしている。

 現行制度は、課税主体が償却資産所在の市町村(東京23区は東京都)、課税客体は土地・家屋以外の事業用の減価償却資産で、減価償却額・減価償却費が法人税法・所得税法の規定による所得の計算上損金等に算入されるもの。標準税率は1.4%。評価方式は、取得価額方式で「初年度の評価額=取得価額-控除額×1/2(半年分)」、「各年度の評価額=前年度評価額-控除額」。控除額は、法定耐用年数に応じた原価率により算出される額。

 「2009年度固定資産の価格等の概要調書」の課税標準から推計すると、償却資産に対する固定資産税の内訳は、1兆6722億円のうち、「機械及び装置」が6214億円と37.2%を占めている。諸外国の例をみると、米国は、財産税として事業用動産(償却資産)に38州が課税、英国は償却資産への課税なし、フランスは職業税として償却資産に課税していたが、2010年1月に廃止、ドイツも財産税を1997年1月に廃止している。

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