2011年09月22日-1
注目される地方税の不服申立制度改革

 地方税の不服申立手続きは、原則として行政不服審査法に定めるところにより行われるが、処分の大量性、争いの特殊性から、原則として「異議申立」または「審査請求」の手続きを経た後に原処分の取消訴訟を提起できることとされ、「処分権限が委任されている場合」(都道府県・政令指定都市)と「処分権限が委任されていない場合」(一般的な市町村)とで、不服申立手続きが違ってくる。

 「処分権限が委任されている場合」は、納税者が処分に不服がある場合、60日以内に原権限庁(知事・市長)に審査請求を行い、裁決を受け、その裁決になお不服がある場合に6ヵ月以内に訴訟を提起することになる。ただし、知事・市長が3ヵ月を経過しても裁決をしない場合等は、訴訟に持ち込むことができる、不服申立前置制度となっている。つまり、直接訴訟に持ち込むことはできない。

 「処分権限が委任されていない場合」は、納税者が処分に不服がある場合、60日以内に処分長(市町村長)に異議申立を行い、決定を受け、その決定になお不服がある場合に、6ヵ月以内に訴訟に持ち込むことができる。ただし、市町村長が3ヵ月を経過しても決定をしない場合等は、訴訟に持ち込むことができる。こちらも不服申立前置制度が採られ、直接訴訟に持ち込むことはできない。

 2008年度に不服申立の対象となりうる処分等は2億1801万件(2009年度は不明)あった。2009年度の状況をみると、不服申立は2124件(異議申立1029件、審査請求1095件)あり、認容率(納税者の主張が認められたもの)は5.4%(96件/1779件)、出訴率は2.6%(56件/2124件)だった。内閣府の行政救済検討チームが現在、不服申立前置の廃止を目指しているが、納税者が直接訴訟へ持ち込むことができるようになるのか、注目される。

 この件の詳細は資料(35~37P)参照↓
 http://www.cao.go.jp/sasshin/shokuin/gyosei-kyusai/pdf/wg05/wg05-docu-today.pdf

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