2011年09月20日-4
日債銀事件、旧経営陣3人の無罪確定へ

 旧日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)の粉飾決算事件で、旧証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)罪に問われ、8月30日の差戻し控訴審判決で無罪となった窪田弘元会長、東郷重興元頭取と岩城忠男元副頭取の旧経営陣3人について、東京高検は13日、上告しないことを決めた。東京高検の伊丹俊彦次席検事は、「明確な上告理由が見いだせず、上告はしないこととなった」とコメント。これにより3人の無罪が確定する。

 1、2審は、3人が1998年3月期決算で、旧大蔵省が前年に改正し、不良債権処理を厳格化した新決算経理基準に従った処理を行わず、損失を約1592億円圧縮した虚偽の有価証券報告書を提出したと認定。3人に有罪判決を言い渡した。だが最高裁が2009年の上告審判決で「新基準は明確性に乏しく、当時は過渡的な状況だった」として審理を高裁に差し戻した。

 同日、談話を発表した弁護団は、「東京地検特捜部は、存在もしない会計慣行を創作し、日債銀関係者及び監査法人、(旧)大蔵省関係者等に対する不当な取調べによって、任意性、信用性に欠ける多数の供述調書を作成し、本件を強引に立件したものであって、その権力の行使態様はまことに異常であり、到底許すことはできないものである」として、東京地検特捜部を批判した。

 また、「日債銀刑事事件(及びこれと時を同じくする長銀刑事事件)の立件は、バブル崩壊にともなうわが国の経済の破綻と、これにともなう金融機関の経営悪化に対処するための、金融政策の転換にともなう金融機関の責任を、その時期に破綻金融機関の再建の任にあたっていた経営者個人の責任にすりかえ、金融行政の責任から国民の目をそらそうとしたもので、この点からも、事件の立件に正義はなかった」と断じた。

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