2011年09月12日-1
大口株主等の基準が保有割合3%以上に引下げ

 2011年度税制改正において、上場株式等に係る配当所得の特例(10%の軽減税率)の適用期限が2013年12月31日まで2年延長されているが、一方で、同特例の対象とならない大口株主等の基準が引き下げられているので注意が必要だ。「大口株主等」とは、発行済株式等の5%以上を保有する個人をいうこととされているが、今回の改正で、この保有割合が3%以上に引き下げられた。

 この改正は、2011年10月1日以後に支払いを受ける配当等について適用されることになるが、この見直しにより、軽減税率が適用されない大口株主等は、2倍近くに増加するとみられている。現在、発行済株式等の保有割合が5%以上の大口株主等が支払いを受ける配当所得は、事業参加性があるとみなされ、分離課税は適用できず、総合課税の対象となっている。

 今回の見直しの背景には、会社法が3%以上の保有で株主総会召集請求権や役員解任の訴えの提起を認めていることがある。つまり、発行済株式等を3%以上保有していれば事業参加性が認められることになることから、税法上も大口株主等に加えることにしたものだ。今回の改正に伴い、上場株式等を3%以上5%未満保有する人も、今年の10月以後は軽減税率を適用できなくなり、一律、総合課税の対象となる。

 軽減税率は所得税7%、住民税3%の計10%の課税で済むが、総合課税となると、税率は所得税が5~40%、住民税が10%となるため、税負担は大幅に増加することになる。なお、上場株式等の配当等に係る源泉徴収義務等の特例において、配当の支払者から支払の取扱者への通知義務の対象となる大口株主等が支払いを受ける配当等の要件についても同様の改正が行われており、2011年10月1日以後から適用される。

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