2011年09月05日-3
事業用敷地を一部譲渡した場合の特定事業用宅地は

 先祖代々酒問屋を営んできた被相続人の死亡により事業を相続した長男が、今は酒等の倉庫を必要とせず、全て電話やFAX、インターネットで商売を行っていることから倉庫を取り壊し、その部分の敷地を売却することにした。売却資金は借入金の返済や手形決済資金に充当し、財務内容を改善したが、この場合、売却した部分を含めて相続税の小規模宅地の特例が適用できるのか?

 その答えは、小規模宅地の特例を受けることはできるが、被相続人の事業を引き継いでも、その引き継いだ敷地の一部を売却した場合は、売却しなかった部分についてのみ特定事業用宅地として、400平方メートルまでの範囲で80%の減額が受けられる。したがって、売却した事業用の敷地は、特定事業用宅地の適用が400平方メートル未満であっても、特例を受けることはできない。

 これは、2010年度税制改正において、2010年4月1日以後の相続から適用されているもので、同年3月31日以前の相続開始であれば、特定事業用宅地の特例が400平方メートル未満である場合であれば、200平方メートルに相当する部分について50%の小規模宅地の特例を受けることができた。しかし、売却しなかった部分の宅地については、400平方メートルまで80%の減額対象となる。

 ところで、居住用の宅地については、売却しなかった部分について特定居住用宅地等の要件を満たせば、売却した部分も含めたすべて(240平方メートルまで)について80%の減額を受けることができる。例えば、被相続人が居住してきた家、屋敷が広いため、相続した屋敷の一部を売却したようなケースでは、小規模宅地の特例が適用され、80%の減額がうけられる。事業用、居住用の別をしっかり認識しておくことが重要となる。

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