2011年09月01日-3
地方税法の「特別の事情」活用と税制一元化を要望

 口座振替は、納税者にとってはその都度の納付手続きが必要のない身近で便利な方法であり、地方公共団体にとっても期限内納付の推進、書面の削減のメリットが大きい。しかし、地方税法では、税目ごとに納付期限や納付回数が定められているため、納税者にとっては、逆に利用しにくい面がある。いわば、地方税の税目の縦割りの存在がネックとなっており、(社)地方銀行協会等は、その改善を求めている。

 利用しにくい原因として、(1)税金の納付期限と納税者の収入時期のサイクルが整合していない、(2)毎月の支払金額が一定でない、などが挙げられる。そこで、一部の地方公共団体では、地方税法の「特別の事情」に該当するとして、納付期限や納付回数に係る条例を改定、複数税目の納付を一本化することで毎月の納付額を平準化、口座振替を推進した例もある。こうした対応を拡大していくことが国民経済全体にとって有益との見方もある。

 一方、わが国の国税、地方税及び社会保険料の納付及び徴収は、国税庁、地方自治体、日本年金機構及び労働局などで個別に行われているが、それらの計算基礎には重複した部分が多数存在する。これらの申告・納付等は各別に行わなければならないので、納税者等にも重複した事務負担が強いられる。また、徴収機関がそれぞれ独立していることは、行政コストの肥大化にもつながる。そこで、国税・地方税等の一元化構想が登場する。

 これは、日本税理士会連合会が2012年度税制改正建議で提案しているもので、課税ベースや計算基礎が共通していることに着目すれば、国税と地方税の事務一元化についても検討が可能であり、国税と社会保険料の一元化よりも、国税と地方税の事務一元化のほうが、議論が容易で、かつ、実効性が高いとしている。そこに立ちはだかっているのは、縦割り行政の壁ということになろうか。

ウィンドウを閉じる