2011年08月29日-3
「社会保障・税一体改革成案」の遂行に関し政府答弁

 わが国の資金循環の現状を踏まえた「社会保障・税一体改革成案」に関連し橘慶一郎衆院議員(自民)が提出した質問主意書に15日、政府が答弁書を送付した。日銀の資金循環統計によれば、2011年3月末の家計の金融資産は1476兆円で、うち764兆円が預金。一方、国を中心とする一般政府の負債は1045兆円で、国債・地方債等証券による負債が863兆円。我が国の資金循環の現状を踏まえた政策遂行が不可欠とし、質問した。

 質問は、(1)改革成案で、「資産再分配機能を回復し、格差の固定化を防止する観点」を掲げているが、内閣で資産再分配機能の回復が必要と認識する理由、(2)同、「高齢者が保有する資産の現役世代への早期移転を促し、その有効活用を通じた経済社会の活性化を図るとの観点」から贈与税軽減を掲げているが、有効活用の具体策は、(3)資産課税や金融証券税制を強化する取組みが必要と考えるが、内閣の見解及び具体的な取組みは、など。

 答弁書では、(1)について、「資産再分配機能を有する相続税は、バブル崩壊後の地価下落にもかかわらず基礎控除の水準が据え置かれてきたため、相続税の課税件数割合は4%程度であり、また、最高税率の引下げを含む税率構造も緩和されてきた結果、その資産再分配機能が低下している状況を踏まえ、基礎控除の引下げ等による課税ベースの拡大や税率構造の見直しを行い、資産再分配機能を回復させていく必要がある」としている。

 また、(3)については、2011年度税制改正大綱で「格差の拡大とその固定化を食い止めることが重要な課題。社会保障制度と併せて、税制における再分配機能の回復を図る」としている。資産課税については、相続税の課税ベースの拡大や税率構造の見直しを行うとしており、今国会に提出している経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案にこれらの措置を盛り込んでいる、と答弁した。

 同質問主意書及び答弁書は↓
 http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htm

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