2011年08月29日-1
目的外払出しの遡及課税が行われない財形住宅貯蓄等

 勤労者が、勤労者財形住宅貯蓄及び勤労者財形年金貯蓄の目的外払出しを行う場合には、5年間の利子遡及課税・払出し課税(所得税15%、住民税5%の計20%源泉分離課税)が行われるが、震災特例法により、東日本大震災で被害を受けたことにより、2011年3月11日から2012年3月10日までの間に目的外払出しを行う場合には、その貯蓄に係る利子等に対する遡及課税等は行わないこととされた。

 財形住宅貯蓄は、勤労者の持家取得の促進を図ることを目的とした勤労者財産形成促進法に基づく制度。5年以上の期間にわたって定期に給与天引き預入により積み立てること及び住宅の取得等の頭金として払い出されることを要件に、元本550万円までの利子等につき源泉所得税が非課税とされる。原則として、国内に住所を有する年齢55歳未満の勤労者で、勤務先に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している者に限られる。

 一方、財形年金貯蓄非課税制度は、勤労者の計画的な財産形成、特に老後の生活安定のため財形年金貯蓄の利子等について、5年以上定期に給与天引き預入により積み立てること及び60歳以降の年金の支払開始まで払出しをしないこと等を要件に、550万円までの利子等が非課税となる。ただし、生命保険の保険料、生命共済の共済掛金、損害保険の保険料は385万円までとされ、残りの165万円は財形住宅貯蓄の非課税の枠として利用できる。

 なお、2011年3月31日から施行日の前日(4月26日)までの間に財形住宅貯蓄及び財形年金貯蓄の目的外払出しを行い、その貯蓄に係る利子等に対する遡及課税がすでに行われている場合は、その事実が東日本大震災によって被害を受けたことにより生じたものであるときは、その徴収された所得税の額がある勤労者は、「2012年3月10日」までに、納税地の所轄税務署長に対し、その徴収された所得税の額の還付を請求することができる。

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