2011年08月25日-2
教育訓練費の税額控除、廃止のはずが実質2年延長に

 中小企業者等における教育訓練費に係る税額控除の復活に関心が寄せられている。教育訓練費に係る税額控除とは、中小企業が負担した教育訓練費の一定割合の税額控除を認める制度。負担した教育訓練費の額が人件費の0.15%以上かつ0.25%未満なら、その教育訓練費の額に「(教育訓練費割合-0.15%)×40+8%」で算出した割合を乗じた額を税額控除限度額とし、0.25%以上なら12%相当額までの税額控除が認められる。

 もともとは今年3月31日をもって廃止される予定だったが、ねじれ国会や東日本大震災の影響で国会審議が滞り、他の措置法とともに「つなぎ法案」によって今年6月30日まで3ヵ月延長されていた。それが、国会で棚上げとなっていた2011年度税制改正法案から与野党合意がなされた部分だけを切り離した新法案の成立により、2012年3月31日まで延長されることとなったのだ。

 教育訓練費にかかる税額控除の適用関係は、「○年〇月○日までに開始する事業年度について適用」という規定ぶりであるため、「6月末まで」とされたつなぎ法によって、つなぎ期間である3ヵ月以内に事業年度が開始する会社は、実質1年延長したのと同様の効果が得られていた。ところが、今回の改正で同控除の適用が「2012年3月31日まで」に延長されたことから、実質2年延長したのと同じ効果が得られたことになる。

 ちなみに、教育訓練費として認められるのは、「外部講師・指導員謝金」、「外部施設等使用料」、「外部への教育研修委託費」、「外部研修受講料等の参加費」、「研修用教科書その他教材費」の5項目。また、教育訓練費は原則として外部支出費用とされているが、子会社やグループ会社の役員(または使用人)が講師を務め、その働きに対して報酬を支払った場合や外注委託した場合には、教育訓練費に該当する。

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