2011年08月24日-2
国内外の株式交換に係る課税の繰延べを要望~EBC

 欧州ビジネス協議会(EBC)は、2012年度税制改正で、組織再編税制における「国内外の株式交換に係る課税の繰延べ」を要望した。わが国では、一定の株式交換について譲渡益の課税の繰延べを内国法人間でのみ認めている。国内外の株式の交換取引を実質的に可能にするため、日本は2007年に三角合併制度を創設、国内に設立された買収用のビークルを間に入れることで、外国法人株式と内国法人株式の実質的な交換が可能となった。

 しかしながら、実際には三角合併制度はほとんど利用されていない。特に、ヨーロッパの会社にとっては、適格三角合併取引の要件を満たすためには様々な障壁があり、EBCはそのため、買収時の課税の繰延べと将来の日本及び相手国の課税権を確保するために必要な策を講じることを条件に、内国法人株式と外国法人株式の株式交換を可能にすることを提案するとしている。

 株式の交換は、資本の自由な流れ及び国境をまたいだ企業グループの形成を促進する。三角合併制度は、それを目的として導入されたもの。三角合併制度が現実にはほとんど利用されていないという事実を克服するには、よりシンプルな株式交換が認められるべきで、課税の繰延べと日本及び相手国の将来の課税権を確保するため、一定の要件を満たした金融機関が仲介に入っている場合に限り、これを認めるといった規制も可能としている。

 そうした金融機関は納税者が株式交換により生じた譲渡益の課税の繰延べを希望する限り、当該外国法人の株式の監視をする。実際に日本では、上場株式に係る配当や譲渡益について、それらの金融商品が証券会社によって管理されている場合にのみ、軽減源泉所得税率を適用している前例がある。したがって、株式交換により取得された株式についても、一定の要件を満たす金融機関によって管理することが可能だとしている。

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