2011年08月22日-1
TKC、消費税引上げやむなしも帳簿方式維持を要望

 TKC全国政経研究会は、2012年度税制等改正要望の重点事項に、「消費税を引き上げる場合には、複数税率及びインボイス方式は採用せず、帳簿方式を採用することとする」を掲げている。国と地方の行財政改革を徹底しても、最低限のプライマリーバランスに必要な財源として消費税率を引き上げざるを得ないが、その場合でも、複数税率及びインボイス方式は採用せず、引き続き帳簿方式を採用すべきとしている。

 OECD各国のなかで、帳簿方式を採用している国は日本だけで、わが国中小企業の記帳レベルは諸外国と比較して最も高く、その基盤により帳簿方式が成り立っている。一方、諸外国は中小企業の記帳レベルが低いためにインボイス方式を採用せざるを得ない現状がある。インボイスの不正発行による脱税問題も発生しており、インボイスが、あたかも消費税額を正確に捕捉できる万能ツールであるかのような認識は明らかに誤り、と指摘。

 また、1989年の消費税導入と同時に帳簿方式が採用され、以来20数年にわたって、わが国においては帳簿方式を継続し、事業者間はもとより、経済活動の中で帳簿方式が浸透している。このような状況のなかで、取引発生の都度に発行しなくてはならないインボイスを、帳簿に追加して義務付けることは、中小企業に過度な事務負担を強いることになり、望ましくないとの考えを示している。

 さらに、消費税は一般にいわれている程の逆進性はなく、比例税で、それぞれの消費者の経済力を正確に反映している。仮に複数税率を採用しても、高所得者と低所得者の間で食料品の支出割合の差が小さく、食料品への軽減税率の採用は、高所得者の負担のほうが大きく軽減される。また、(1)制度の簡素化、(2)経済活動に対する中立性の確保、(3)事業者の事務負担の軽減、(4)税務執行コストの観点からも単一税率が望ましいとした。

 同2012年度税制等改正要望の重点事項は↓
 http://www.meti.go.jp/topic/downloadfiles/110816a06_01j.pdf

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