2011年08月04日-2
震災後の相続放棄問題の質問主意書に政府が答弁

 東日本大震災の発生から3ヵ月が経過した現在、遺産相続の放棄問題が新たに生じている。民法第915条で相続人は自己の相続の開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に放棄を申し立てなければ、自動的に財産を相続することになる。被災地では家屋・財産が甚大な被害を受け、また相続人が相続する財産だけでなく、借金がどのような状況かも不明であるとし、木村太郎衆院議員(自民)が政府に質問主意書を送付、政府が答弁した。 

 質問は、(1)被災地で相続放棄の申請ができない人はどの程度いるのか、また国としてどのように捉えているのか、(2)遺産相続は、借金も含めて状況を把握しなければ承認・放棄の判断ができないが、9万人余りの方が避難生活を送っている現状で国はどのように対処するのか、(3)遺産状況の把握が困難な被災地の相続人に、国として何らかの対処を考えているのか、(4)3ヵ月経過時点で相続放棄の申請がなされた場合、国の対処は。

 政府は、(1)については、家庭裁判所に対し相続放棄・限定承認の申述をし、または民法第915条第1項の期間(「熟慮期間」)の伸長の請求が困難な状況にあることは承知しているが、詳細については把握していないとし、質問(2)(3)については、家裁に熟慮期間の伸長の請求ができること、同請求の手続等は、「壁新聞」、「生活支援ハンドブック」、ラジオ番組「震災情報官邸発」等において紹介を行うなど、その周知を図っている、と答弁。

 今後は、今国会で、議員立法として提案され、先に成立した東日本大震災に伴う相続の承認・放棄をすべき期間に係る民法の特例に関する法律の内容の周知に努めていくとともに、民法第915条第1項の規定により、相続の放棄は自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内にしなければならないが、相続放棄の申述を受理するか否かは、家庭裁判所の判断によることから、政府として答弁は差し控える、とした。

 質問主意書は↓
 http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htm

 答弁書は↓
 http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htm

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