2011年08月04日-1
より使いやすくなった金融円滑化法の事業承継

 「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」が6月30 日付で施行された。事業承継税制の納税猶予において、従来の「特別子会社」の定義に加えて「特定特別子会社」という制度が定義された。この改正により、「経営承継円滑化法の事業承継税制(納税猶予)」が従来よりも使いやすくなった。中小企業の実態に即した改正であると評価されている。

 円滑化法の納税猶予は、中小企業のための制度で上場会社等の大会社には適用されない。風俗営業会社等も適用外。しかも、その企業の「特別子会社」が上場企業・風俗営業会社等であった場合も適用外。このなかで「会社並びにその代表者及びその代表者の同族関係者が合わせて総株主等議決権数の過半数を有している会社」を特別子会社としている。「同族関係者」は配偶者、6親等以内の血族及び3親等以内の姻族をいう。

 言い換えると、6親等以内の血族や3親等以内の親族が上場企業等の大会社や風俗営業会社の株式を過半数有していた場合には、それら特別子会社の要件に該当してしまうため、納税猶予の制度が使えなかった。しかし、核家族化が進行する現代で、6親等以内の血族といっても実際には面識がないか、そのような親族の存在すら知らない、という場合が多いはずで、あまりに適用範囲が広すぎるのではないかと議論されてきた。

 今回の改正で「特定特別子会社」という制度が創設され、その定義には、従来の特別子会社の定義に「生計を一にする親族が過半数を有する会社」と読み替えることになったため、6親等以内の血族や3親等以内の姻族など、面識すらないような親族のことは配慮しなくて済 むようになったわけだ。今回の改正だけで事業承継税制の申請が一挙に増えるものでもないと思われるが、中小企業の実態に即した改正であるといえる。

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