2011年08月01日-1
非常用食料品は長期間保存のものも購入時に損金算入

 東日本大震災や第二原発事故後、一部の食料や水が店頭から消える騒ぎがあったが、これを機に、災害時に備えて非常用食料品を社内に備蓄しようと考える企業も少なくないだろう。非常用食料品の中には、フリーズドライ食品のような長期間保存のきくものもある。例えば、酸素を100%近く除去して缶詰にしたものは、賞味期間(品質保証期間)は25年間とされているが、80年間程度は保存に耐え得るものといわれている。

 例えば、ある会社では、地震などの災害時における非常用食料品(長期備蓄用)としてフリーズドライ食品1万人分2400万円を購入し、備蓄した。その食品の缶詰1個あたりの価格は、その中味により1000円(150グラム缶)~6000円(500グラム缶)である。同食品は、上記のように賞味期間は25年間だが、80年間程度は保存がきくといわれ、何もなければ次に買い換えるのは数十年後になると思われる。

 このように長期間保存がきくものであると、税務上の取扱いに迷うものだが、非常用食料品は、総額が何千万円になろうと、備蓄時に事業供用があったものとして、そのときの損金の額(消耗品費)に算入できることとされている。また、その品質保証期間が2~3年と短いものは、その期間内に取り替えることになるが、その取替えに要する費用も、その配備時に損金算入することができる。

 国税当局は、(1)食料品は、繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性をもつ、(2)その効果が長期間に及ぶとしても、食料品は、減価償却資産や繰延資産に含まれない、(3)仮に、その食品が法人税法にいう「消耗品で貯蔵中のもの」であるとしても、災害時用の非常食は、備蓄することで事業の用に供したと認められる、(4)類似物品として、消火器の中身は取替え時の損金として取り扱っていること、などの理由を挙げている。

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