2011年07月11日-4
租税特別措置は税制改正の中身に要注意

 2011年度税制改正法案は、緊急性の高い改正を盛り込んだ「現下の厳しい経済情勢及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律」が6月22日に成立し、同30日に公布・施行された。残りの法案については、「経済社会の構造変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」と名を変え、継続審議とされた。このなかで、租税等別措置の帰趨をみてみると…。

 まず、2011年度税制改正通りに改正が行われているのが次の租税特別措置。信用保証協会が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減→軽減税率を1000分の1.5(現行1000分の1)に引き上げた上で適用期限を2年間延長(2011年6月30日から2013年3月31日まで)。特定の資産の買換えの場合等の課税の特例(中小企業高度化事業)→廃止。中小企業の事業再生に伴う不動産取得税の軽減措置→1年間延長(2012年3月31日まで)。

 さらに、中小企業高度化事業に係る不動産取得税の課税標準の特例及び納税義務の免除→廃止及び消費税における免税事業者の要件及び仕入税額控除制度におけるいわゆる「95%ルール」の見直しも成立した。これは、課税売上割合が95%以上の場合に課税仕入れ等の全額を仕入税額控除できる制度を、その課税期間の課税売上高が5億円(課税期間が1年に満たない場合は年換算)以下の事業者に限り適用するもの。

 一方、法人税率の引下げに伴い廃止・見直しを行うこととされている特別措置(中小特例を含む)は、2012年3月31日まで適用期限が延長された。つまり現行税制が延長されたので要注意。中小法人の軽減税率(22%→18%)。中小企業等基盤強化税制(経営革新計画・卸・小売・サービス業・情報基盤・地域産業資源活用事業計画・農商工等連携事業計画・教育訓練費)。中小企業等の貸倒引当金の特例。商工組合等の留保所得の特別控除。

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