2011年07月07日-1
6月30日公布の中小企業税制を整理すると…

 2011年度税制改正は、ねじれ国会、東日本大震災の発生の影響で、2010年度末に日切れ部分の期間延長が行われたのを皮切りに、6月22日に「所得税法等の一部改正法案」のうち緊急部分を「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」として国会に上程、同月30日に施行された。同法の施行により、現行の中小軽減税率(18%)が2012年3月31日まで延長されている。

 中小軽減税率については、本則22%、年800万円以下の金額について2009年4月1日から2011年3月31日までの2年間の時限措置として18%とされていた。2011年度改正法案では、現行の特例税率を3年間の措置として18%から15%に引き下げるとともに、本則税率を19%に引き下げることとされたが、今回施行された税制整備法で、18%の特例税率のみが2012年3月31日まで延長された。中企庁によると、対象企業は52万社にのぼる。

 中小企業が、従業員を10%以上かつ2人以上増加させた場合に、1人当たり20万円税額控除できる雇用促進税制は成立した。2011年4月1日から2014年3月31日までの間に適用する。また、中小企業がエネルギー起源CO2排出削減等に効果が見込まれる設備等を取得した場合に、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除を適用できるグリーン投資減税(大企業は特別償却のみ)が、今回の緊急整備法で創設されている。

 さらに、事業承継税制の適用にあたり、申請会社及びその関係者が風俗営業会社等の株式を一定以上保有してはならないとする要件が見直されている。具体的には、関係者の範囲を親族等から、後継者本人、生計を一にする親族等(親族:配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族)に絞り込み、要件が大幅に緩和されている。この改正は、税制整備法が施行された本年6月30日から適用される。

 そのほか、総合特別区域法の制定に伴い、市区町村向けの高度化事業の用に供する土地等の譲渡所得の特別控除及び事業所税の非課税措置等が創設されている。総合特別区域法の施行日以後に行う土地等の譲渡について適用される。また、法人税率の引下げに伴い廃止・見直しを行うこととしている中小企業等基盤強化税制や中小企業等の貸倒引当金の特例などの租税特別措置は、2012年3月31日まで適用期限が延長されている。

 この件の詳細は↓
 http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2011/download/110630KaiseiGaiyou23-0.pdf

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