2011年07月04日-2
社会保障・税一体改革成案で「税制全体の抜本改革」

 政府・与党社会保障改革検討本部が6月30日に決定した「社会保障・税一体改革成案」において、税制全体の抜本改革につき、社会保障改革の進め方との整合性にも配意しつつ、2009年度税制改正法附則104条第3項及び2010年度・2011年度税制改正大綱(閣議決定)で示された方向性に沿って、次のように個人所得課税、法人課税、消費課税、資産課税にわたる改革を進めることとされた。

 個人所得課税では、格差の是正や所得再分配機能等の回復のため、各種の所得控除の見直しや税率構造の改革を行う。給付付き税額控除は、所得把握のための番号制度等を前提に、社会保障制度の見直しと併せて検討。金融証券税制では、金融所得課税の一体化に取り組む。 法人課税は、課税ベースの拡大等と併せ実効税率の引下げを行う。中小法人に対する軽減税率についても、中小企業関連の租税特別措置の見直しと併せ引下げを行う。

 消費税(国・地方)は、本成案に則って所要の改正を行う。逆進性問題については、消費税率が一定の水準に達し、税・社会保障全体の再分配を見てもなお対策が必要となった場合には、制度の簡素化や効率性などの観点から、複数税率よりも給付などによる対応を優先することを基本に総合的に検討する。併せて、消費税制度の信頼性を確保するための一層の課税の適正化を行うほか、消費税と個別間接税の関係等の論点を検討する。

 資産課税は、資産再分配機能を回復し、格差の固定化を防止する観点から、相続税の課税ベース、税率構造を見直し、負担の適正化を行う。これと併せ、高齢者が保有する資産の現役世代への早期移転を促し、その有効活用を通じた経済社会の活性化を図るとの観点から、世代を超えた資産格差の固定化にも配慮しつつ、贈与税を軽減する。また、事業承継税制について、運用状況等を踏まえ見直しを検討する。

 地方税制については、地域主権改革の推進及び国と地方を通じた社会保障制度の安定財源の確保の観点から、地方消費税を充実するとともに、地方法人課税のあり方を見直すことなどにより、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築する。また、税制を通じて住民自治を確立するため、現行の地方税制度を「自主的な判断」と「執行の責任」を拡大する方向で改革する。

 この件の詳細は↓
 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/kentohonbu/dai6/siryou2.pdf

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