2011年06月30日-4
会計士協、「国税通則法の一部改正案」で意見書公表

 日本公認会計士協会は、「国税通則法の一部改正」に対する意見を公表した。現在国会審議中の「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」のうち「国税通則法の一部改正」について意見を述べている。意見は、「納税者権利憲章の作成及び公表」、「質問検査権」、「提出物件の留め置き」、「事前通知・事前通知をしない場合の書面の交付」、「調査の終了通知」で構成されている。

 まず、「納税者権利憲章の作成及び公表」においては、納税者権利憲章を作成し、「これを公表する」とあるが、一般的な「公表」にとどめるだけでなく、納税者に税に関する権利・義務を周知徹底するため、公権力の行使(とりわけ第7章に規定する調査)に先立ち、税務職員等は、納税者に納税者権利憲章を交付しなければならない旨を規定化すべきとの考えを示した。

 また、第7章の2(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)及び第127 条について、改正通則法案では、国税の調査に係る質問検査権の行使に関し、「その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(括弧内省略)を検査し、または当該物件の提示若しくは提出を求めることができる」と規定。この改正は、実質的には提出命令と同じであり、現行法よりも国税庁等の調査権限を強化するものであるといえ削除すべきとしている。

 さらに、第74条の7(提出物件の留置き)で、改正通則法案によれば、納税者が提出した帳簿書類等は、税務署員等が納税者の同意なしに「当該調査において提出された物件を留め置くことができる」となっている。しかし、帳簿書類等の留置きは、納税者にとって、日常の業務に支障をきたす場合があり、帳簿書類等の留置きに関しては、納税者の業務に配慮し、帳簿書類等の留置期間及び返還等に関する規定を創設すべきとしている。

 公表意見の全文は↓
 http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/files/4-2-0-2-20110624.pdf

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