2011年06月30日-3
中小法人向け特例の不適用措置を見直し

 2011年度税制改正法案を分離した「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部改正案」が22日に成立した。このなかで、複数の完全支配関係がある大法人(資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人または相互会社等をいう)に発行済株式等の全部を保有されている法人については、中小企業者等の軽減税率を適用しないとともに、特定同族会社の特別税率の適用対象とすることとされた。

 法人税法では、経済的基盤が脆弱な中小企業を支援するために、いくつかの中小企業向けの特例措置が認められているが、従来、大法人の100%子法人であっても、中小企業の要件を満たしていれば特例措置の適用が認められていた。しかし、大法人の100%子法人は、大法人と一体になって事業経営が行われることから、そのような法人については支援の必要はないと考え、2010年度改正で特例措置の適用を認めないこととされた。

 不適用となる特例措置は、(1)軽減税率、(2)貸倒引当金の法定繰入率、(3)欠損金の繰戻しによる還付、(4)特定同族会社の留保金に係る特別税率、(5)交際費の損金不算入制度における定額控除で、内国法人である普通法人のうち、各事業年度終了時において「資本金額または出資金額が5億円以上である法人」、「相互会社(相互会社に準ずるもの)」、「受託法人(法4の7)」による完全支配関係にある普通法人が対象となる。

 なお、2011年度の改正では、100%グループ内の二以上の大法人によって発行済株式等の全部を保有されている中小法人は、大法人の100%子法人に該当し、中小特例は不適用となる。また、これらの改正は、法人の2011年4月1日以後に開始する事業年度(公布の日(6月22日)前に終了する事業年度を除く)の所得に対する法人税について適用することとされている。適用時期に注意したい。

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