2011年06月30日-2
1年に限り可能な特別償却の償却不足額の繰越し

 租税特別措置法では、種々の社会経済政策の観点からの政策減税として、特定の固定資産を事業の用に供した場合には普通償却を上回って償却できる特別償却を認めている。これは、本来の減価償却とは別に、特別償却により投資額の早期の資本回収を図ることができる措置を講じることにより、社会経済政策上望ましい特定の投資を図ることを意図したもの、とされている。

 特別償却は、事業の用に供した初年度に取得価額の一定額(例えば30%)について普通償却を上回って償却できるが、割増償却は、償却期間にわたって普通償却限度額の一定額について普通償却を上回って償却できる。狭義の特別償却は、初年度特別償却の形をとることにより一時の投資促進を図るが、割増償却は、一定期間にわたる償却額の割増の形をとることにより、一定期間にわたる投資の維持を図ることになるわけだ。

 ところで、特別償却(割増償却を含む)の計上に当たって、特別償却対象資産ごとに特別償却不足額(特別償却としての損金算入額が特別償却限度額に満たない場合のその満たない金額)がある場合には、普通償却とは異なり、1年に限り繰り越すことができる。特別償却が政策減税であることから、1年に限りその適用を猶予した措置。この規定は、特別償却不足額を適用する事業年度まで継続して青色申告であることが要件となる。

 特別償却には、「中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却」、「雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除」、「特定設備等の特別償却」、「共同利用施設の特別控除」、「医療用機械等の特別償却」など17種類ある。また、割増償却には、「経営基盤強化計画を実施する指定中小企業者の機械等の割増償却」、「障害者を雇用する場合の機械等の割増償却」、「サービス付き高齢者向け賃貸住宅の割増償却」など7種類がある。

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