2011年06月27日-2
震災に伴う相続放棄の判断期間延長特例法が成立

 東日本大震災発生から3ヵ月以上が経過したが、亡くなった人がいる家庭では相続問題が生じる。そうしたなか、大震災の被災者に対しては、相続財産を放棄するかどうかの判断期間を本年11月30日まで延長できるとする特例法が、6月17日に成立し、21日に公布・施行されている。6月15日に衆院法務委員長が提出、審査省略で翌16日に衆院可決、同日参院に送付され17日に可決・成立というスピード審議だった。

 通常、相続税の申告・納付は、相続人が被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内に行うことになっている。基礎控除額の範囲内であれば、申告も納税も必要ないが、申告期限までに申告しなかった場合や過少申告した場合には、本来の税金のほかに加算税がかかる。ただ、大震災の被災者については、一定の納税地や特定土地等に該当するときは、期限を延長できる措置が震災特例法によりすでに手当てされている。

 一方、民法の規定では、相続放棄または限定承認(相続によって得た財産の限度で被相続人の債務を受け継ぐ)の判断を、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内にしなければならず、この期間内に判断しなかったときは、単純承認(被相続人の権利と共に借金等の義務も全て引き継ぐ)したものとみなされてしまう。このため、思わぬ借金を背負いこんでしまうケースもある。

 3ヵ月以内に判断できないときでも、利害関係人が家庭裁判所に請求することによって期間を延長できる制度もあるが、被災下でそれを求めるのは酷だし、生活の混乱するなかでは、負債がどのくらいあるかなど財産を調べられる状況にはない。そこで、今回相続を承認するか放棄するかの判断期間を延長する特例が措置されたわけだ。2010年12月11日以後に相続の開始があったことを知った者が対象となる。

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