2011年06月27日-1
国と地方の配分がネックの社会保障と税の一体改革

 「社会保障と税の一体改革」は、6月20日に成案が決定する予定だったが、消費税率の引上げ時期及び国税・地方税の配分問題などで結論を持ち越した。それを予見したかのように、みずほ総研が「社会保障と税の一体改革の評価と課題」と題するレポートで、「消費税率引上げのタイミングや消費税収の国・地方の配分など未決定の点が少なくなく、今後の議論の行方が不透明」との厳しい評価を下していた。

 レポートによると、「社会保障と税の一体改革案」において、2015年度までに段階的に消費税率を5%引き上げることで、消費税収と高齢者3経費(基礎年金・高齢者医療・介護)の差(いわゆる「スキマ」)が解消することを明記した点は評価するが、景気との関係、復興増税との関係から社会保障財源分として早期に消費税率5%の引上げが可能であるかどうか、改革案にはそれに関する記述がない、と指摘。

 また、改革案で消費税収の社会保障財源化(法律上、会計上)し、その充当先を高齢者3経費から社会保障4経費(年金・医療・介護・少子化対策)に拡充するとしているが、消費税の国分の使途は、これまでも予算総則により高齢者3経費に充てられることが決められていた。しかし、改革案では、地方分も含めて消費税収が当面は高齢者3経費に限定され、さらに、2020年度の財政健全化計画も達成されないとする。

 そして、最大の問題が国・地方の配分。現在、消費税の地方配分は地方交付税(国の消費税収の29.5%)で、改革案ではともに社会保障財源とされる。しかし、今後、国・地方の配分がどのように決められるかが地方財政にとって重要で、地方単独の社会保障費は消費税収の範囲から外されることが示唆されている現状では、財政力の弱い自治体の社会保障サービスの確保が困難となり、富裕自治体との格差が広がる懸念があるとしている。

 同レポートの全文は↓
 http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/urgency/report110610.pdf

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