2011年06月23日-3
日税連が2012年度税制改正建議まとめる

 日本税理士会連合会(池田隼啓会長)が「2012年度税制改正に関する建議」をまとめた。税制に対する基本的な視点として、「負担の公平はもちろん、わかりやすく簡素な仕組み、経済活動における選択を歪めないための中立性が必要」として、(1)公平な税負担、(2)理解と納得のできる税制、(3)必要最小限の事務負担、(4)時代に適合する税制、(5)透明な税務行政、の視点を基本に置いている。

 具体的な税制改正建議項目は、全30項目に及んでいる。所得税では、現行所得区分は1950年のシャウプ勧告に基づく改正で採用された10区分に基づいているが、その後の税制改正、経済環境の変化及び所得発生形態の多様化等に十分に対応しきれておらず、例えば不動産所得と事業所得を統合する、また、公的年金等を雑所得から分離し、独立した所得区分を設けるべきとしている。

 法人税では、役員給与を原則損金の額に算入されるものとし、損金の額に算入されないものを包括的又は限定的に法人税法施行令に規定し、必要に応じて法人税基本通達で追加的に示すことが適切で、この場合に事前確定届出給与を廃止することが可能となる。また、交際費課税における交際費等の範囲を見直し、社会通念上必要な交際費等の支出は原則として損金算入するとともに、定額控除限度額内の10%課税制度は即時廃止を求めている。

 建議ではさらに、中期的な視点からの検討課題として、「確定決算主義の維持」、「給与所得控除のあり方の再検討」、「消費税の改正」、「国税・地方税の申告納税の一元化」について提言、消費税の改正については、「東日本大震災の復興財源として消費税の税率を引き上げることが議論されているが、税率を引き上げるに際しては、税体系全体の在り方についての検討が必要であり、同時に歳出の見直しや行政の合理化図るべき」としている。

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