2011年06月23日-2
不服申立て・訴訟の納税者救済・勝訴割合は11.1%

 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する異議申立てや国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、さらには訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。国税庁・国税不服審判所が20日に公表した不服の申立て及び訴訟の概要によると、今年3月までの1年間(2010年度)の不服申立て・税務訴訟を通しての納税者救済・勝訴割合は11.1%となったことが分かった。

 異議申立ての発生件数は、法人税等(6.9%減)、徴収関係(6.9%減)は減少したが、その他は軒並み増加し、全体では前年度から6.4%増の5103件となった。処理件数は、「取下げ」687件、「却下」628件、「棄却」2955件、「一部取消」399件、「全部取消」77件の合計4746件。納税者の主張が一部でも認められたのは476件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度を1.8ポイント下回る10.0%だった。

 税務署の処分を不服とする国税不服審判所への審査請求の発生件数は、相続・贈与税(27.9%増)、徴収関係(33.4%増)は増加したが、法人税等(23.8%減)などが減少し、前年度から5.2%減の3084件だった。処理件数は、「取下げ」309件、「却下」640件、「棄却」2289件、「一部取消」326件、「全部取消」153件の合計3717件だった。納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同1.9ポイント減の12.9%となった。

 一方、訴訟となった発生件数は、所得税(15.3%減)、審判所関係(44.4%減)などに係る事件が減少したものの、法人税(21.2%増)、相続・贈与税(79.2%増)などが増加したことから前年度を3.2ポイント上回る350件。終結件数は、「取下げ」49件、「却下」11件、「棄却」267件、「国の一部敗訴」11件、「同全部敗訴」16件の合計354件。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は7.6%で同2.6ポイント増だが、最近10年間では2番目に低い。

 このような納税者救済・勝訴割合は、あくまでも結果論だが、全体でみると、2010年度中に異議申立て・審査請求・訴訟を通して納税者の主張が一部でも認められたのは、処理・訴訟の終結件数の合計8817件(前年度7910件)のうち982件(同991件)で、その割合は11.1%(同12.5%)と、前年度に比べ1.4ポイント減少している。異議申し立て、審査請求における救済割合の減少が要因とみられる。

 不服の申立て及び訴訟の概要は↓
 http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/fufuku/index.htm

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