2011年06月20日-2
10年度査察白書、多く見受けられた架空経費の計上

 2010年度査察白書によると、同年度に検察庁に告発した件数は156件で、業種別にみると、「不動産業」(13件)、「建設業」(11件)、「運送業」(11件)などの告発件数が多かったが、これらの業種・取引における脱税の手段・方法としては、架空経費を計上するものが多く見受けられたという。また、脱税によって得た不正資金の多くは、例年と同様に、現金や預貯金または有価証券として隠されていた。

 架空の経費を計上していた事例をみると、不動産賃貸業を営むA社は、不正加担法人と通謀し、同法人に対して架空の修繕費を計上していた。架空の修繕費は、不正加担法人の預金に送金された後現金でバックさせ、代表者個人の借入金返済に充てられていた。また、解体工事業のB社は、実在しない法人に対して架空の外注費を計上。架空の外注費は、会社の預金から現金で出金され、そのまま隠されていた。

 その他の脱税の手段・方法では、消費税の申告において、課税仕入れに該当しない人件費を課税仕入れとなる外注費に科目仮装するものや、国際取引を利用した事案として、タックスヘイブンに関係法人を設立して、架空の外注費を計上していたもの、海外で受領した仲介手数料収入を申告から除外するとともに、その収入を国内に持ち込むことなく、海外に開設した預金で留保していたものなどがあった。

 脱税によって得た不正資金の多くは、現金・預貯金・有価証券として留保されていたほか、不動産、金地金、高級外車、競走馬を購入していた事例もあった。不正資金等の隠し場所は様々だったが、(1)本社事務所の残土置場地中約2メートルに埋められたスーツケース内(現金)、(2)居宅の収納庫床下に設置された金庫内(同)、(3)居宅のクローゼットに収納された衣服のポケット内(通帳)などに隠していた事例が報告されている。

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