2011年06月20日-1
10年度査察は約42億円減の248億円の脱税把握

 いわゆるマルサと呼ばれる査察は、脱税でも特に大口・悪質なものが強制調査され検察当局に告発されて刑事罰の対象となる。国税庁が17日に公表した今年3月までの1年間の2010年度査察白書によると、査察で摘発した脱税総額は前年度を約42億円下回る248億円だった。検察庁に告発した件数は前年度より7件多い156件だったが、告発分1件あたり平均の脱税額は同3400万円減の1億3700万円と、減少に転じた。

 2010年度1年間に全国の国税局が査察に着手した件数は196件(前年度213件)、継続事案を含む216件(同210件)を処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)し、うち72.2%(同71.0%)にあたる156件(同149件)を検察庁に告発した。告発事件のうち、脱税額(加算税を含む)が3億円以上のものは前年度を2件下回る15件、脱税額が5億円以上のものは前年度と同様の6件だった。

 近年、脱税額3億円以上の大型事案が減少傾向にあり、2010年度の脱税総額248億円は、ピークの1988年度(714億円)に比べ3割半ばまで減少している。告発分を税目別にみると、「法人税」が前年度から6件増の90件で全体の57%を、脱税総額では同33.6%減ながら約101億円で47%を占めた。相続税は過去5年間で最多の9件、約55億円となったほか、所得税は横ばいの36件、約36億円、消費税は1件増の19件、約16億円だった。

 告発件数の多かった業種・取引(5件以上)は、昨年度に引き続き、都市部における地価高騰の影響を受けた「不動産業」が13件で最多のほか、「建設業」と「運送業」がともに11件、「商品・株式取引」が10件、「人材派遣業」が5件で続いた。2010年度の特色として、技能習得を目的とした外国人研修生を日本企業にあっ旋する「外国人研修生受入事業」や過払金返還請求等の業務を行う「認定司法書士」の告発があった。

 同査察白書の概要は↓
 http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/sasatsu/index.htm

ウィンドウを閉じる