2011年06月15日-2
土地を取得し住宅建築の工事請負契約後死亡したら

 相続等により取得した事業用や居住用の宅地等のうち、一定の面積までの分については、一定の条件によって土地の相続税課税価格の50%または80%の減額が可能となるのが小規模宅地等の特例。2010年度税制改正により、事業用、不動産貸付、居住用のいずれについても、事業または居住を継続しない宅地等(それまでは200平方メートルまで50%減額)が適用対象から除外され、年々適用が厳しくなってきた。

 例えば、自らの住宅を建てるために土地を購入し、建築会社との間で建築に係る工事請負契約を締結した後に急逝し、住宅建築工事は相続人によりその後に着工され、相続税の申告期限までに竣工、被相続人の配偶者と長男家族が入居した場合、相続税の小規模宅地等の課税価格の特例を受けられるのか? その答えは、残念ながら、小規模宅地の特例を受けることはできない。

 ここでのポイントは、居住用の宅地に該当するかどうかという点にある。被相続人所有の宅地は、居住することを前提に土地を購入したわけで、まさしく居住用なのだが、相続開始直前において居住用宅地となっていない。つまり、居住用となるか否かのポイントがここにある。その建物が、相続開始前に着工されていれば適用の可能性があったことになるのだ。

 建築中ということであれば、80%の評価減額が適用されたのだが、この場合、建築中とは認められない。税務上は、建築のための契約締結だけでは建築中とは認められず、少なくとも建物の建築が着工されている必要がある。ここでの着工とは、例えば基礎工事が始められているなどの場合が挙げられる(1988年6月25日最高裁判決)。なお、居住は、申告期限後でも相当の期間内であり、完成後速やかに居住の用にすれば可能となる。

ウィンドウを閉じる