2011年06月06日-2
10年分の確定申告書提出者数は2年連続減少

 国税庁が6月1日に発表した2010年分所得税等の確定申告状況によると、所得税の確定申告書を提出した人は、前年を2.2%下回る2315万人となり、11年ぶりに減少した前年に引き続き減少した。これは、景気の低迷により申告納税額がある人(納税人員)が同2.2%減の702万1千人と5年連続で減少したことに加え、還付申告者数が同2.5%減の1267万3千人と2004年分以来の減少となったことが要因とみられている。

 納税人員の減少に伴い、その所得金額は前年を2.0%下回る34兆6958億円、申告納税額は、同1.3%下回る2兆2431億円となり、それぞれ4年連続、3年連続で減少した。申告納税額は、ピークの1990年分(6兆6023億円)の約3分の1にあたる。なお、還付申告者数は、前年まで5年連続で過去最高を更新していたが、2010年分は6年ぶりの減少となった。ただ、申告者全体の約55%を占めていることに変わりはない。

 所得税申告者のうち、株式等譲渡所得の申告者は前年に比べ7.8%増の103万人9千人、うち所得金額がある人が同6.2%増の26万3千人と増加したが、所得金額は同11.1%減の1兆247億円と減少した。これらの株式等譲渡所得の申告者を除く土地等の譲渡申告者は同3.8%増の41万人、うち所得金額がある人は同9.4%増の22万4千人、所得金額は同16.6%増の2兆4855億円と、いずれも前年を上回っている。

 一方、贈与税の申告状況をみると、暦年課税を適用した申告者は前年に比べ19.4%増の34万5千人、うち納税額がある人は同6.4%増の24万人、その納税額は同35.8%増の1109億円と大幅に伸びた。1人あたりの納税額は同27.6%増の46万円。相続時精算課税制度に係る申告者は同24.7%減の5万人、うち納税額があった人は同14.2%減の3千人、申告納税額は同10.1%減の197億円。1人あたりの納税額は同4.9%増の594万円だった。

 また、2009年分から新たに導入された住宅取得等資金の非課税を適用した申告者は前年に比べ73.8%増の7万1千人、住宅取得等資金の金額は同110.6%増の7765億円、うち非課税の適用を受けた金額は同275.4%増の7719億円と、いずれも大幅に増加。これは、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税枠が、2009年中の500万円から、2010年中は1500万円(2011年中は1000万円)まで大きく増えたことが要因とみられる。

 なお、東日本大震災により青森県、岩手県、宮城県、福島県及び茨城県の5県については、国税の申告・納付等の期限が延長されているが、これらの地域における、2011年3月末日現在の所得税の確定申告書を提出した人員は、前年に比べ約11%減の約160万人となっている。

ウィンドウを閉じる