2011年05月19日-4
青色申告欠損金等の繰越控除期間が7年から9年に

 2004年度税制改正で、金融機関の不良債権処理や大胆な事業の再構築を進める中で発生した欠損金の清算に取り組む企業を支援するため、欠損金の繰越控除制度における繰越期間が5年から7年に延長され、2001年4月1日以後開始事業年度で発生した欠損金に遡り適用されているが、2011年度改正で、青色申告書を提出した事業年度の欠損金及び青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除期間が9年に延長される。

 一方、税務署長等が、申告書の提出があった場合に、申告書に記載された課税標準額または税額の計算が誤っていたときは、調査によりその申告書に係る課税標準等または税額の更正をすることができ、その更正に係る法人税の法定申告期限から一定期間を経過するまでしかできない(更正の期間制限)が、前記の改正により欠損金に係る更正の除斥期間も7年に、脱税以外の場合の過少申告に係る更正の除斥期間は5年とされていた。

 2011年度税制改正案では、繰越控除期間を9年に延長したことにより、青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度について、その欠損金額が生じた事業年度の帳簿書類の保存が適用要件とされるとともに、更正の請求期間及び更正の期間制限も7年から9年に延長される。

 繰越控除期間の延長及び帳簿書類の保存、更正の期間制限については、2008年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金額について適用され、法人税の欠損金額に係る更正の期間制限については、2011年4月1日以後に法定申告期限が到来する法人税について適用されている。しかし、同改正については現在国会で審議中のため、帳簿書類の保存等、注意深く準備を進めておく必要がある。

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