2011年05月19日-2
災害減免と雑損控除を併用できる個人住民税

 所得税では、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律第2条に基づき、災害により住宅または家財に甚大な被害を受けたことにより所得税額の減免を受けることができるのは、その災害による損失額について雑損控除の適用を受けない者に限られるとされているが、個人住民税では、損失額について雑損控除の適用を受けた場合でも、地方税法323条による条例に基づく減免の適用を受けることが可能だ。

 例えば、2011年の所得が2010年の所得に比べて大幅に減少した者については、各地方団体が地方税法第323条の規定に基づき条例を定めることで、次のような減免措置を講じている例もある。この場合に、所得減少の程度を判定するに当たっては、2011年度の賦課を行う段階では所得額が確定しないことから、所得が確定した時点で所得減少の程度の判定を行って減免額を決定することも考えられる。

 減免額の判定基準として、所得減少の程度が10分の5以下で、前年の所得金額が450万円の場合は全額減免、450万円超600万円以下の場合は10分の8減免する。所得減少の程度が10分の5超10分の7以下で、350万円以下の場合は全額減免、350万円超450万円以下の場合は10分の8減免、450万円超600万円以下の場合は10分の5減免する。このような条例を制定することにより、減免を行うことができる。

 なお、被害状況や個々の納税義務者の収入の情況等の地域の実情によっては、前記の例にかかわらず、所得の減少の程度、前年の所得金額の計算方法・基準等について設定しても差し支えないこととされている。また、個人住民税については、2011年に災害を受けた場合に、2011年度分の個人住民税について条例により減免をすることも可能で、その裁量は各地方団体に委ねられている。

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