2011年05月18日-3
相続税・贈与税の納税猶予制度の認定要件を緩和

 2008年10月1日以降の相続税から適用されている納税猶予制度(贈与税の納税猶予制度は2009年4月1日以降の贈与から適用)は、後継者が、一定以上の自社株式の贈与を受けた場合、議決権株式等を含め発行済完全議決権株式総数の3分の2に達するまでは、相続税が免除されるが、認定対象会社に高いハードルが設けられていた。その一つが、「風俗営業会社に該当しないこと」だったが、2011年度税制改正案では緩和される。

 改正案では、非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、同制度の運用状況等を踏まえ、「風俗営業会社等に該当してはならないこととされる特別関係会社の範囲」のうち、「認定会社の代表権を有する者と生計を一にする親族」に限定した。これまで、配偶者、6親等以内の血族、3親等以内の姻族に、風俗営業会社等の経営者がいた場合は認定されなかったが、この範囲を絞り込み、要件が緩和されるわけだ。

 なにしろ、6親等以内の血族ともなれば、会ったことも聞いたこともない親族というケースも多々あり、緩和を求める声が大きかった。ちなみに、他の認定要件は、「中小企業基本法の中小企業であること」(特例有限会社、持分会社も対象)、「非上場会社であること」、「総収入金額が零でないこと」、「従業員数が零でないこと」、「資産管理会社に該当しないこと」となっている。

 周知の通り、期限切れの租税特別措置を6ヵ月延長する「つなぎ法」は成立したが、本体の改正法案は現在審議中で、注視が必要。また、非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度については、その適用の基礎となる「中小企業における経営の円滑化に関する法律」に基づく認定等の運用状況や政策目的等を踏まえ、同制度の活用を促進するための方策や課税の一層の適正化を図る措置について、引き続き検討するとされている。

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