2011年05月18日-2
回答内容の非公開期間を180日から1年以内に延長

 納税者サービスの一環として設けられている文書回答手続きは、事前照会に対する回答を文書で行うとともに、その内容を公表することで同様の取引を行う他の納税者に予測可能性を与えることを目的としている。2011年4月1日以後に行われる事前照会から非公開期間の延長等の見直しが実施される予定だったが、税制改正法案の成立が微妙な情勢のなか、実現に暗雲がたれこめている。

 改正案では、国税局の担当職員は、事前照会者からの照会文書が受付窓口に到達した日から概ね1月以内に、それまでの検討状況からみた文書回答の可否の可能性、処理の期間の見通し等について、事前照会者に「口頭で説明する」とし、補足資料の提出等を求めた日から提出等がなされた日までの期間は、その1月の期間に算入しない。また、照会内容及び回答内容等の公表を延期できる期間を最長1年(改正前180日)とするというもの。

 事前照会に対する文書回答では、回答の可否の可能性及び回答時期の見通し等について、照会者への連絡制度がなかった。また、回答内容等の非公開期間について、最大180日では経済上の秘密が保持できず、文書回答手続きの活用を躊躇せざるを得ず、利用者から期間延長の要望が出されていた。そこで、これらの要望に応えるべく、回答時期の見直し等の連絡及び回答非公開期間の延長を行うものだが、その実現が微妙となっているわけだ。

 なお、文書回答の対象となる事前照会の範囲は、仮定の事実関係や複数の選択肢がある事実関係に基づくものではなく、(1)実際に行われた取引、(2)確実に行われる取引、及び(3)将来行う予定の取引で個別具体的な資料の提出が可能なものに係る事前照会とされている。また、公表範囲は、原則として照会内容及び回答内容が公開されることとなるが、事前照会者の申出があり、その申出に相当の理由がある場合には公表を延期できる。

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