2011年05月16日-3
税務調査の事前通知を憲章法で明確化

 調査手続の透明性及び納税者の予見可能性を高め、調査に当たっての納税者の協力を促すことで、より円滑かつ効果的な調査の実施と、申告納税制度の一層の充実・発展に資する観点から、2012年1月1日から、課税庁が原則として事前通知を行うことが納税者権利憲章法上明確にされる予定だ。ただし、悪質な納税者の課税逃れを助長することのないよう、課税の公平の観点を踏まえ、一定の場合には事前通知を行わないこともできる。

 税務署長等は、税務職員に実地の調査において質問検査権等を行わせる場合には、あらかじめ納税義務者等にその旨を通知した上で、調査を開始する日時等を記載した書面を調査開始日前に交付する。しかし、税務署長等が違法または不当な行為を容易にし、正確な課税標準等または税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合には、これらの通知及び交付を要しない。

 事前通知をしない場合の具体的事由は通達に記載される予定で、(1)正確な事実の把握を困難にするおそれ、(2)違法若しくは不当な行為を容易にし、またはその発見を困難にするおそれ、(3)その他国税(条約相手国の租税を含む)に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ、などが規定される。事前通知の対象者は、納税者本人、調書提出者及びその代理人(税理士(税理士登録を行った弁護士、公認会計士を含む))、反面先となる。

 事前通知の通知内容は、調査の日時・場所、調査の目的(例:○年分所得税の申告内容の確認等)、調査対象税目・課税期間、調査対象となる帳簿書類その他の物件(例:所得税法△△条に規定する帳簿書類)、その他必要事項として「調査の開始日時・場所の変更の申出に関する事項」、「調査状況に応じ通知内容以外について非違が疑われる場合には、その通知内容以外の事項についても調査対象となりうること」、「相手方の氏名及び住所」など。

ウィンドウを閉じる