2011年05月16日-1
国の借金、年度内に1000兆円突破も

 2011年度中に国の借金が1000兆円の大台を突破する可能性が高くなった。財務省の発表によると、国債や借入金、政府短期証券を合わせた「国の借金」が今年3月末で924兆3596億円に達し、過去最高を更新、最大規模となる44兆円強の新規国債発行で、前年度末比41兆4361億円増えた。同省は、2011年度末には997兆円を上回るとしているが、震災復興へ国債増発が避けられそうになく、さらに厳しい財政運営を迫られそうだ。

 同省がまとめた2010年度末時点での「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」によると、国の借金は国債が758兆5690億円(2010年12月末比4兆7610億円増)、政府短期証券が110兆7847億円(同4977億円増)、借入金が55兆58億円(同502億円減)。国債のうち普通国債は636兆3117億円、財投債(財政投融資特別会計国債)は118兆1918億円。借金の総額を2010年12月末と比べると、5兆2084億円増えた。

 財務省が1月に示した見通しでは、2010年度末時点での借金残高が943兆円に達するとしていた。しかし、借換債(前倒し債)の発行額を補正後予算額の20兆円に対して17兆円に、36兆7000億円を予定していた赤字国債の発行も34兆7000億円にとどめたことなどから、これを下回り924兆3596億円となったものだ。ただし、今後、震災復興財源としての国債増発は避けられない状況にある。

 景気の持ち直しで3月期決算企業の法人税収が回復するとみて、予定していた国債発行を見合わせていたが、震災の影響で最終的に税収が伸び悩めば、差額分を埋めるため2011年度の国債発行額が膨らむ懸念がある。加えて、震災復興のため政府がまとめる同年度第2次補正予算の規模が「20兆円に限りなく近くなる」(民主党の安住淳国会対策委員長)との指摘もあり、年度末の時点で借金が1000兆円を大きく上回る可能性が高くなった。

 政府保証債務現在高は↓
 http://www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/2303.html

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