2011年05月12日-1
中国子会社からの配当の税務上の処理は

 中国(中華人民共和国)では、法定監査や確定申告も終わり、わが国と同様、そろそろ2010年度の決算に関する董事会(日本の株主総会に相当する)を開催する法人も多い。そこで、董事会で配当を決議する会社の配当に対する日本親会社の税務処理「受取配当金等の益金不算入制度」について、(株)マイツ社長で、公認会計士・税理士の池田博義氏が解説している。

 日本親会社は、2009年4月1日以後に開始する事業年度で、外国子会社から受ける剰余金の配当等について、「受取配当金等の益金不算入制度」を適用することとされている。この「益金不算入制度」とは、日本親会社が外国子会社から剰余金の配当等を受け取る場合、剰余金の配当等の額から剰余金の配当等の額の5%に相当する金額を控除した金額については、事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しないというもの。

 剰余金の配当等とは、剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配を指す。ただし、特定外国子会社等からの剰余金の配当等には経過措置があり、2009年4月1日以降開始する事業年度の特定外国子会社等からの配当等は外国子会社益金不算入制度が適用される。日本親会社は2010年12月末事業年度の配当に関し、配当基準日が2010年12月末、配当基準日が董事会決議日のいずれも4月1日以降なので、配当益金不算入制度の適用を受ける。

 特定外国子会社等の定義は、外国法人のうち居住者及び内国法人により直接・間接に50%超の持分を保有されているもの(外国関係会社と定義)で、所得に対する税負担が20%以下であるもの(2010年4月1日以後に開始する事業年度における特定外国子会社等の判定の際に適用され、それ以前は25%以下)とされる。中国子会社は税率が25%なので、2011年1月1日以降の事業年度からは、特定外国子会社に通常該当しないことになる。

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