2011年05月11日-3
「理由附記」で白色申告者への対応が今後の課題

 処分の適正化と納税者の予見可能性の確保の観点から、2011年度税制改正案において全ての処分について、「理由附記」を実施することされた。国税に関する法律に基づく申請により求められた許認可等を拒否する処分または不利益処分について、課税庁が行政手続法の規定に基づき理由を示すもの。しかし、個人の白色申告者については、今後記帳が義務化することに伴い、さらに検討することとされている。

 今後の検討事項は、(1)白色申告者の記帳義務化に伴い、必要経費を概算で控除する租税特別措置についてどのように考えるか、(2)記帳義務化を踏まえ、今後、正しい記帳を行わない者の必要経費についてどのように考えるか、(3)白色申告者の記帳水準が向上した場合には、現在、白色申告者に認められている専従者控除について、その専従の実態等を勘案し、どのような見直しが可能か検討してはどうか、などがある。

 現在国会で審議中の改正案においては、個人の白色申告者に対する更正等に係る理由附記については、確定申告を行った所得300万円超の白色申告者については2012年1月以後、「理由附記」を実施する。それ以外の者(「確定申告を行った所得300万円以下の白色申告者」及び「確定申告をしていない白色申告者」)については、2013年1月以後、理由附記を実施することとしている。

 また、特例措置として、2007年から2011年までの各年分の所得税につき記帳義務があった者については、2012年1月以後「理由附記」を実施。2012年1月以後、現行の白色申告者に係る記帳義務・記録保存義務の水準と同程度の記帳・記録保存を行っている者については、運用上、2012年1月以後、「理由附記」を実施するよう努めるとしている。「理由附記」については、青色申告者との差別化をどのように図るかが今後の課題といえそうだ。

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