2011年04月28日-3
東北3県を5~10年「無税特区」にとの提言

 日本経済研究センターは25日、「日本経済の再設計-震災を越えて」と題した東日本大地震からの復興策をまとめた提言を公表した。そのなかで、民間の投資を促すために、岩手、宮城、福島の東北3県は、5~10年にわたって地方法人税や固定資産税を無税にするよう求めた「特区構想」を示した。3県のこれらの税収は年間5000億円程度あるが、減収分は、同センターが3月に提案した復興税を導入し、その税収で補う考えだ。

 復興税は、税率が低い石炭なども含め、あらゆる化石燃料に課税し、税収を年間5兆円と想定している。税収は全額、復興対策に充てる。復興税は化石燃料に幅広く課税するが、例えばガソリンなら現状より1リットル当たり15円程度の引上げになる。被災地の住民、企業にも負担増となるが、現地には別途さまざまな支援策を講じることで補う。経済全体の影響は、税収を全額支出に回すことで、避けられるとみている。

 東北3県の地方法人税等を無税にすることで減収となる年間5000億円は、この3県の総生産の約2%に相当し、国全体に換算すると10兆円減税と同等になるが、5~10年間無税にすることで、自由な発想に基づいた民間投資が期待できる。また、復興税の税収全額を東北の復旧・復興に充てれば、マイナスの影響はなくなると試算。ただし、他地域のマイナスはその分、大きくなることから、国民全体の理解を得る必要性を強調している。

 このように、東北3県の無税特区構想を示す一方で、被災地の沿岸部で風力発電などの普及・振興を図ることも提案。温暖化防止などの長期的な環境制約を踏まえ、新エネ普及を復興策の柱の一つとするべきだとした。東北地方の風力発電の潜在的な可能性は極めて大きいと指摘。収益を原発事故の処理費に配分し、財政による復興支援を少しでも軽減する意味もある上、電力制約の緩和にも役立つとしている。

 同提言の全文は↓
 http://www.jcer.or.jp/policy/pdf/pe(iwata20110425).pdf

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