2011年04月25日-2
東日本大震災に関する諸費用の法人税の取扱いを公表

 国税庁は20日、東日本大震災に関する諸費用の法人税の取扱い(法令解釈通達、費用通達)及び東日本大震災関係諸費用(災害損失特別勘定など)に関する法人税の取扱いに係る質疑応答事例を公表した。これらの取扱いは、阪神・淡路大震災の際の法人税の取扱いを参考にしたものであり、阪神・淡路大震災の際に寄せられた質疑を参考にして、今回の東日本大震災に関する諸費用の法人税の取扱いに係る質疑応答事例を作成している。

 費用通達では、「災害損失特別勘定への繰入額の損金算入」、「被災資産の修繕費用等の見積りの方法」、「災害損失特別勘定の益金算入」、「修繕等が遅れた場合の災害損失特別勘定の益金算入の特例」、「災害損失特別勘定を設定した場合の災害損失の範囲」、「修繕費用等の支出がある場合の災害損失の額の計算」、「繰延資産の基因となった資産について損壊等の被害があった場合」、「損壊した賃借資産等に係る補修費」などの取扱いを示している。

 また、質疑応答事例は、2011年4月18日現在の法令・通達等に基づいて作成したもので、災害損失特別勘定に関して、その概要や経理、中間決算での取扱い、修繕費用の見積額、繰入れ、取崩し、延長確認申請、その他について27事例、また、賃貸資産等の補修費用関係で4事例、被災者用仮設住宅の設置費用関係で2事例の計33事例を掲載し、その取扱いを明らかにしている。

 例えば、災害損失特別勘定では、まず取扱いの原則を示し、被災資産を引き続き事業の用に供する場合に、法人税の所得の金額の計算上、損金算入されるものとして、(1)その資産の価値が減少したことによる評価損、(2)原状回復のための修繕費用等があり、(1)の評価損は災害のあった日を含む事業年度で計上できるが、(2)の修繕費用等は、法人税法上の取扱いとしては、修繕等を行った事業年度で損金算入する、としている。

 しかし、今回の災害においては、被害を受けた資産に係る修繕費用等の金額を合理的に見積もることができ、被災事業年度に損金算入を認めても税務上問題のない事例も十分に想定されるなどの諸事情を踏まえ、被災棚卸資産・固定資産の修繕等のために要する費用で、災害のあった日から1年以内に支出するものとして適正に見積もれるものは、災害損失特別勘定に繰り入れて、被災事業年度に損金算入できることにした、と説明している。

 東日本大震災に関する諸費用の法人税の取扱い(法令解釈通達)は↓
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/110418/hojin_atsukai.pdf

 同質疑応答事例は↓
 http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/pdf/hojin_FAQ.pdf

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