2011年04月14日-1
災害に基因する農地の一時的休止は納税猶予を継続

 国税庁はこのほど、東日本大震災の発生に伴い、災害に関する相続税及び贈与税の取扱いについて、よくある質問を取りまとめ公表した。まず、相続税または贈与税の農地等に係る納税猶予の取扱いがある。農地等を相続した場合や生前贈与された場合は一定の要件のもとに納税が猶予されるが、その間に農地等を売ったり転売したり、農業経営を廃止したときは、猶予されていた税金を納めなければならない。

 そこで、この納税猶予の特例を受けている農地等については、災害を基因として一時的に、(1)津波により利用できなくなった場合、(2)被災地の道路建設のための資材置場として県に貸し付けた場合、(3)被災者用の仮設住宅用の敷地として市へ貸し付けた場合、などには災害のためにやむを得ず一時的に農業に使うことができなくなったと認められることから、引き続き納税猶予の特例の適用が継続される、と説明している。

 次に、小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例について、被相続人の事業の用に供されていた施設が、災害により損害を受けたため、相続税の申告期限においてその事業が休業中であっても、その施設を相続した被相続人の親族が事業再開のために準備を進めているときは、その施設の敷地は、その申告期限においてもその相続人の事業の用に供されていたものとして取り扱われるとしている。

 これによって、この特例の要件の1つである事業の継続要件を満たすことになり、事業の継続要件以外の他の要件のすべてを満たす場合には、特例の適用を受けることができることを明らかにしている。なお、特定居住用住宅地等、特定同族会社事業用宅地等及び貸付事業用宅地等の居住または事業の継続要件の判定においても、上記に準じた取扱いとなることを補足している。

 そのほか、相続した金銭を、相続税の申告期限までに日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座等に拠出した場合は、その金銭は「国等に対して相続財産を贈与した場合等の非課税等」の特例適用が受けられ、相続税の課税対象にならないことや、震災後、知人から受け取った見舞金は、その金額がその受贈者の社会的地位や贈与者との関係に照らし社会通念上相当と認められるものは、贈与税や所得税の課税対象とはならないとしている。

 同FAQの全文は↓
 http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/pdf/sozoku_zoyoFAQ.pdf

ウィンドウを閉じる